子供と一緒に行った海釣りで、一番釣ったことがあるのはおそらくシロギスなJackです。時期が良ければ、子供が仕掛けを投げる距離でも結構釣れるんですよね。
今回は、これからが旬の時期を迎えるシロギス釣りに焦点を当ててお話をしたいと思います…サビキ釣りもいずれ紹介しますので、もうちょっと待ってくださいね。(汗)
シロギスについて
一体どんな魚なの?
いきなり小難しい話から始めてしまいますが、スズキ目スズキ亜目キス科キス属の魚です…要はスズキの遠い親戚ぐらいの魚、ということですかね?(いい加減すぎるか?)
北海道南部から九州にいたるまで、ほぼ日本全国で釣ることができる魚です。産卵期は初夏から秋口、この時期に釣ることが出来ます。
とはいえ、昨年のシマノ・ジャパンカップ(投)では5月の地区大会に参加しましたが、正直なところこの時期にはまだキスの魚影が薄く、「釣れないことはないが非常に厳しい釣りだった」記憶があります…また、今年は黒潮の流れ方の影響で海水温の上昇がやや遅れているのか、僕のホームグラウンド(伊勢湾内)では「今頃(6月上旬)でようやく釣ることが出来るようになってきたかな?」といった具合です。
本格的かつ手軽に釣りが出来るようになるのは、海水温がある程度(15度以上)上がってからです。狙い目の時期は初夏と初秋、余りに水温が上がりすぎると反応が鈍くなることが多いようですが、僕のホームグラウンドでは夏休み中ぐらいになると、子供がちょい投げできる距離(25m前後)でも頻繁にキスのアタリが楽しめます。
パールピンクの綺麗な魚体から「サーフの女王」などというあだ名で呼ばれることもある魚です。
また、釣りをしている時にも他の魚(例えばメバルやカサゴ、木っ端グレなど)と比べると、手で掴んだり針を外しやすかったり(細い魚体で、鋭い棘なども無い)、ヌメリゴチのように手がベトベトになったりしないので、釣りの初心者でも扱いやすい魚だと思います。
その一方で、小さなサイズの魚でも結構良い引きをしてくれるので、釣っていて楽しい魚でもありますね。ごつい投げ竿で遠投していて、それなりのアタリと引きがあったので楽しみにしならがリールを巻き上げてみると、釣れてきたのは12~13センチメートルぐらいの小ぶりなキスだったりということは、ちょくちょくあります。
とはいえ、それぐらい引きが強い魚なので、20センチメートルを超えるサイズが釣れるとかなり強烈な手ごたえがありますし、「尺ギス」「肘たたき」「テッポウ」などと呼ばれる30センチメートルオーバーのサイズが釣れた時には、非常にエキサイティングです。
また、基本的には砂地の海底で多毛類(ゴカイやイソメなどの虫エサ)を食べながら群れをなして泳いでいる魚です。仕掛けに複数の針がついていると、何匹もまとめて釣り上げることができる魚で、ベテランの釣り師であれば、10本針仕掛けで超遠投した先から、針にかかってずらりと並んだキスを釣り上げる光景を見ることもしばしばあります。
キス釣りのポイント(釣り場)としては、漁港の湾内、砂浜、砂利浜などが挙げられますが、河口付近の砂地部分を狙うのも良いです。
ただし、群れを成して頻繁に広範囲を移動している魚なので、とある場所でバタバタっと釣れていたと思ったら、いきなり釣れなくなるということもしばしば…特にサーフでの釣りではその傾向が顕著なため、キスの群れを探してサーフのあちらこちらを歩く必要もあります。健康のためにも、出来るだけたくさん歩きましょう。(苦笑)
キス釣りに限りませんが、サーフにおける魚釣りのポイント探しにつきましては、以下の過去記事もぜひご参照ください。
これらの場所で釣りをしている時、キス以外に釣れてくる魚としてはクサフグ、ネズミゴチ、ヒイラギ(僕が釣りをしている地域では「ゼンメ」と呼ばれています)、セイゴ(スズキの子供)、ギマ、キビレチヌ、ヘダイなど…あとハマチ。
ハマチ以外は、すべて自分で実際に釣ったことがあります…ハマチを釣ったのは、僕のお師匠様でした。
なんでも「投げ釣りでキスがかかったのでリールを巻いていたら、その後ろを何かが追いかけてきていたのでリールを巻く速度を落としてみたところ、途中からいきなり魚の引きが強烈になった」のだとか…ハマチが遠浅のサーフにまで小魚を食べに来ていたところを、うまく釣り上げることが出来たのだそうです。
同じパターンで釣れる可能性があると魚としては、ヒラメやマゴチ、スズキなどが考えられます…皆さんもキス釣りをしている間は、ゆめゆめ油断なされないようご注意ください。
なお、最後になってしまいましたが、キスが良く釣れる時間帯は基本的に「朝マズメ」「夕マズメ」ですが、昼行性の魚なので、その時の潮の動きさえ良ければ(あと、サイズを問わなければ)日中でも十分に釣れる魚です。
潮の動きについては、以下の過去記事もご参照いただければ幸いです。
また、初めてこのサイトをご覧いただいた方の中で「マズメって何?」という方は、以下の記事もどうぞご参照ください。
どうやって釣るの?
投げ釣り
キス釣りの一般的なスタイルと言えば、まず挙げられるのが専用の投げ竿とリールを用いた投げ釣りです。
長い投げ竿とごついリールを使って、200メートルぐらい先の海めがけて思い切り仕掛けを飛ばし、人間が歩くぐらいのスピードでラインを巻き取りつつ、海底部分でズルズルと仕掛けを引きずってきます。
このような釣り方から「引き釣り」などと呼ばれることもあります。
仕掛けを遠くへ投げられるほど、広範囲のキスを探って釣ることが出来るのですが、これがなかなかに難しいです。
よって、家族での釣りとなりますと、次にご紹介する「ちょい投げ釣り」をお勧めします。
ちょい投げ釣り
これまで何度もご紹介してきた釣り方で、こちらも一般的な釣り方の一つです。家族での釣りとなると、これが一番シンプルかつ楽しめると思います。
ちょい投げ釣りに最低限必要な道具につきましては、以下の記事をご参照ください。
また、「ちょい投げ釣りの仕掛けの作り方が分からない」という方は、以下の二つの記事をご覧いただければ幸いです。
魚の習性を理解し、釣りの際のポイントをきっちりと押さえておけば、誰でも簡単にキスを釣ることが出来ますよ。
この写真の釣りの時には、河口沿いにある漁港の堤防からのちょい投げ釣り(狙う場所は河口付近の砂地地帯、釣りの時間帯は朝マズメから昼まで)でしたが、「投げれば釣れる」非常に簡単な釣りでした。家族での初めての釣りの一つとして、非常にお勧めです。
ボート釣り
その他、小型ボートや釣り船に乗っての釣りという方法もあります。
この場合は、仕掛けを遠くに飛ばす苦労も、釣りのポイント探しの苦労もあまり必要とされません。特に釣り船に乗っての釣りであれば、船長さんがキスのよく釣れる場所まで連れて行ってくれるので、あとは仕掛けにエサを付けて海底付近まで沈めるだけです。
この釣り方における唯一最大の問題(敵)は、やっぱり「船酔い」でしょう。
僕自身も過去に一度、お師匠様が所有される漁船に乗せてもらってキスの船釣りをしたことがありますが、お師匠様やその息子さんがバンバンキスを釣り上げる隣で、当時まだ小さかった長男と共に船酔いに耐えるのが精一杯だったのは、今でもよく覚えています。(笑)
キス釣りに限りませんが、船釣りの際には変な見栄や維持を張らず、素直に酔い止め薬を飲んで釣りに臨むことを強くお勧めします。
それぞれの釣り方に共通すること
いずれの釣り方をするにしても、共通する項目が一つだけあります。それは「できればPEラインを使うと、よりキス釣りを楽しめる」ということです。
「PEラインって何?」という方は、以下の過去記事も併せてご参照いただければと思います。
www.familly-fishing.net
投げ釣りやちょい投げ釣りのような「引き釣り」、ボート釣りのような「縦方向の釣り」のどちらにおいても、PEラインが持つ「ラインの伸びがほとんど無く、非常に高い感度」は、キス釣りにおいて強力な武器になります。
もちろん、一般的なナイロンラインを使用した釣りでも、十分にキス釣りを楽しむことは可能です。ただ、より遠くでの(あるいは、より鋭敏に)キスのアタリを感じ取ることが出来るという点においては、「PEラインがバッチリとハマる釣りの一つ」がキス釣りなのです。
ラインの種類としては扱いに若干の慣れが必要ですし、初めての釣りでいきなりPEラインを使用しろなどと言うつもりは全くありませんが、もしもキス釣りや釣り道具の扱いに慣れてきて、もう一歩先の段階に踏み出してみたいと思った時には、ぜひPEラインの使用にもチャレンジしてみてください。
キス独特の「ブルブルッ」というアタリが、はるか彼方からでもよりはっきりと感じ取ることが出来た時、つい「釣ってやったぜ!!」ってガッツポーズを取りたくなると思いますよ。(笑)
どうやって食べるの?
キスは淡泊かつ甘味の強い白身魚で、大変美味です。
食べ方には色々とありますが、ここではその一部をご紹介いたします。
天ぷら
キスと言えばやっぱり「天ぷら」、外れ無しの定番料理です。
釣ったキスを「松葉おろし」と呼ばれる方法でさばいて、衣をつけて揚げた天ぷらは絶品です。
キス以外の魚(ヒメジという赤い魚)も一匹混じっていますが、こんな感じです。
我が家の人気メニューの一つ、主にカミさんと長女が食べてくれます。
なお、キス釣りの外道として釣れるヌメリゴチは、棘があったりベトベトしたりで扱いは大変、見た目もちょっと怖い感じですが、味はキスと同等かそれ以上です。良いサイズのヌメリゴチが釣れた時には、ぜひキスと一緒に持ち帰って食べてみてください。
なお、同じ揚げ物でも、キスは唐揚げには向かないと個人的には思います。
僕が唐揚げを調理する時には、基本的に市販の唐揚げ粉をまぶして揚げるのですが、どうしてもキス独特の甘みや食感を損なってしまうので…調理する人の腕にもよるのでしょうが、もしも魚を唐揚げにするならば、カサゴやハゼなどがお勧めですよ。
刺身
新鮮なキスの刺身もまた、釣り師だけが味わうことが出来る絶品料理の一つです。
こちらは「大名おろし」と呼ばれる方法で頭や内臓、骨、皮を取り除き、薄造りにして食べます…ただし、キスの刺身を作るとなると「ある程度以上のサイズ(15センチメートル以上ぐらい)でないと、さばくのが面倒くさい」という難点はありますが。
天ぷらにした時には「上品な味わいのふわっとした食感」だったキスが、刺身にすると「非常に甘みが強く、適度な歯ごたえがある食感」になります。また、キスを刺身にする際にあえて皮を残し、皮目を焙ってから急速冷凍庫に短時間入れるなどして作った「キスの焼霜造り」というものも、非常に美味なのだそうです。
良いサイズのキスが釣れたら、ぜひ刺身にもチャレンジしてみてください。
塩焼き
オーソドックスに塩焼きにするというのも、全然オッケーです。キスは熱を通してもあまり身が締まらないので、非常に食べやすいです。
ウロコと内蔵を取って軽く塩を振り、キッチンのグリルなどで焼くだけです。皮目の風味なども非常に美味ですよ。
干物
僕自身はまだやったことがありませんが、開いて干物にしたキスも大変美味だそうです。
釣りたての鮮度が良い状態のうちに魚を食べようとする癖があるため、釣った魚を干物にする習慣がありませんでしたが…本ブログのネタとしても、今年辺りチャレンジしてみたいと思います。
まとめ
キス釣りは、「家族での釣り」として比較的取っつきやすい一方で、突き詰めると「非常に奥が深い釣り」でもあります…その一端は、釣具メーカー主催の釣り大会の種目の一つとして取り上げられていることなどからもうかがえると思います。
また、「食べて非常においしい魚」という点でも、家族での釣りには非常に向いているターゲットです。例えば、「天ぷらの種(具材)」として高級な部類に入るキスが、ちょい投げで簡単に釣れて自宅で味わえるのは、キス釣りをした人だけが味わえる贅沢とも言えるでしょう。
これからが旬の時期にあたるシロギス釣り、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください。きっと大人から子供まで、キス独特の「ブルブルッ」という手ごたえや、甘く上品な味わいを十分に楽しむことが出来ると思いますよ。
次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。
参考URL:市場魚貝類図鑑ホームページ「シロギス」