だんだんと寝苦しい季節になってきましたが、睡眠不足は体に毒です。Jackです。
今回は僕自身の経験談を元に、うつからの回復にかかる海釣りがもたらす効果についてお話ししたいと思います。
現在うつでお困りの貴方、ある程度心身の状態が回復してきた時に、もしも興味と心身の余力があれば、試しに海釣りをしてみてはいかがでしょうか?
うつでしんどい時には長い文章を読むこと自体が苦痛になりがちですので、ある程度心身の疲労が回復してきた時などに、今回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。
うつからの回復と海釣りの関係性について
僕が海釣りを始めたきっかけは「うつ」
これまでの記事にも少し書きましたが、そもそも僕が海釣りを始めたきっかけは、抑うつ状態で休職していた時にお師匠様から「気分転換と思って、一度海釣りにおいで」と誘っていただいたことでした。
お師匠様のお誘いに甘えて行ったのが、生まれて初めての夜釣り(電気ウキ釣り)だったのですが、夜の闇の中で波の音を聞きながら、ぼんやりと赤く光る電気ウキを眺めていると、何となく気持ちが落ち着いてくる気がしました…とは言っても、いざ魚が掛かると今度は一転してハイテンションになってしまうのですが。(笑)
海釣りが「うつ」からの回復に効果的な理由
とはいえ、仕事を休ませてもらっている間に釣りに行くことについては、やはり後ろめたさを感じることもありました。
そこで、精神科の主治医の先生にも相談したところ、先生からの回答は「(海釣りが)楽しいと思えるのであれば、心身に負担がかからない範囲内で楽しむと良いでしょう」とのことでした。
と言いますのも、いわゆる「うつ」と呼ばれる症状では、その多くが心身の極度の疲労によって「よく眠れない」「これまでに楽しいと思えていたことが、全く楽しく感じられない」といった形になって表れます。そして最終的には朝全く起き上がれなくなり、外に出たり誰かと会って話をしたりすることすら嫌になって、「学校や仕事に行くことも出来ず、ひたすら家で寝込んでしまう」という結果へとつながります。
また、これも僕が主治医の先生から言われたことなのですが、うつの治療の初期段階は「ひたすら心身を休めつつ一日三食をしっかりと食べて、疲労の回復に努める」のが基本になります。そして、ある程度心身の疲労が回復してきたら今度は「学校や仕事に行くためのリハビリ活動」が必要となってきます。
その際のリハビリ活動の一環として「行動活性化療法(心身の調子が良い時に「自分が楽しいと思えそうな活動」をすることによって、「物事に対して楽しいと感じられる心」を取り戻す治療法)」というものがあるのですが、僕の場合はそれが海釣りだったというわけです。
「行動活性化療法」としての海釣りと、その具体的な効果について
とは言っても、いきなり「うつからの回復には海釣りが良い」と言われたところで、「こいつは一体何を言っているんだ?」という反応をされるのがごく一般的なものであると思います。
そこでここからは、海釣り(特に朝マズメの時間を狙った釣り)がどのようにうつからの回復に効果があるのかについて、僕が主治医の先生から言われたことを海釣りに行った時の一連の行動の流れに当てはめつつ解説していきますね。
早朝からの釣りに備えて、前日は早めに就寝する。
朝マズメの釣りをするとなると、夜明け前には釣り場に到着している必要があります。そのためには、釣りに行く前日の夜は早めに寝ることになると思われます。
うつに苦しむ方の多くは「夜、しっかりと眠れない」「頻繁に目が覚めて熟睡できず、翌日の朝に疲労感が半端ない」といった、睡眠のリズムが崩れている症状にお悩みかと思われますが、この「早寝」という行為が睡眠のリズムの回復のスタートになります。
早朝(夜明け前)に釣り場に到着して、釣りの準備を行う。
前日の早寝の結果がどうであれ、何とか早朝に釣り場に到着出来ればしめたものです。夜明け前に起床して行動することがすなわち「早起き」となる訳で、前日からの「早寝」とセットで「早寝早起き」という生活リズム調整のスタートを切ることが出来ます。
夜明け(朝マズメ)から釣りをスタートする。
いわゆる「朝マズメ」と呼ばれる、魚の活性が上がる朝の時間帯はおおむね「夜明けから、ある程度の高さまで太陽が昇るまでの時間帯」になりますが、夜明け時の太陽の光を浴びることが、人間の体内時計のリセット効果をもたらします。
この段階においても、朝マズメからの釣りが生活リズムの調整に一役買っているという訳ですね。
太陽の光が地球上の生物に与えてくれる恩恵は、計り知れないものがあります。
朝マズメからお昼前ぐらいまでの間、釣りをする。
日の出から海釣りをするという行為は、うつからの回復にかかるリハビリ活動として、人間の体内時計のリセット以外にも様々な効果があります。
特にサーフでの釣り(キスの投げ釣りや、青物等の回遊魚狙いのジギングなど)では、太陽の光を身体に浴びることによって「セロトニン」という、うつからの回復において大変重要な神経伝達物質の生成が行われることや、広大なサーフを魚を求めて歩き回ることによって、うつからの回復に大変効果的な「有酸素運動」が行われることなどが、一挙両得といった感じで実現できます。
釣り場を撤収して帰宅し、使用した釣り道具の後片付けをする。
海釣りをする時期や狙う魚によって状況は様々ですが、だいたいにおいてはお昼前ぐらいには釣りを終えて、帰宅準備に入ることになるでしょう。
帰宅してからは使用した釣り道具の洗浄・後片付けが、その後には釣った魚の調理が待っています…これらの行為に必要な時間を逆算しつつ、釣りを切り上げて帰宅する時間を算出する行為が、そのまま「仕事のスケジュール調整」と同じであると思いませんか?
釣った魚を調理する。
釣り道具の後片付けが終わったら、今度は釣って持ち帰った魚の調理です。まあ大抵の場合は、釣った本人が自分で調理することになると思われるのですが、ここにおいてもうつからの回復にかかるリハビリ活動として、様々な効果が見込まれます。
まずは釣ってきた魚をどう調理するか考えて(企画の立案)、調理に必要な食材や調味料を吟味し(企画を進めるための人やモノの調達)、実際に調理して(企画の遂行)、出来上がった料理を食べる(企画が成功した後の打ち上げ?)…ほら、これら一連の調理作業の流れを見ても、仕事の段取りと全く同じでしょう?
実際、僕の主治医の先生も「心身の余力があれば、家で料理をするという行為は復職に向けたリハビリとして非常に効果的です」とおっしゃっていました。その理由は、先に述べた通りです。
一番お手軽な調理法は、魚のウロコと内蔵を取って塩を振り、グリルで焼くだけの「塩焼き」でしょうか…シンプルながらも、魚本来の味わいを楽しむことが出来ますよ。
釣りで疲れた身体を、早めに就寝して休める。
特に炎天下の中、半日程度とはいえ野外で活動していたら心身共に適度な疲れが出ていることかと思われます…これ幸いということで、釣った魚の料理に舌鼓を打ったあとはさっさとお風呂に入って寝てしまいましょう。
この段階において、一番最初の「早寝」のサイクルに戻ります。
まとめ
このような具合に、特に朝マズメ狙いの海釣りは「うつ」からの回復にかかるリハビリ活動として、大変有用であると考えます。
僕の場合は、海釣り以外にも主治医の先生と相談しながら様々なリハビリ活動を行った結果、おかげさまで現在のところは何とか生活(仕事)を続けることが出来ています(ただし、定期的な受診と服薬は継続しています。)。
なお、今回の記事の内容から「海釣りに行ってもつい仕事などのことを思い出してしまい、逆にしんどくなる」といった方には、無理にお勧めするつもりは全くありません。あくまでも海釣りを楽しむ行為とその過程が、「僕の場合においては」知らず知らずのうちに復職に向けたリハビリ行為にもつながっていた事例をご紹介したかったのです。
別に朝マズメ狙いの海釣り以外でも、「自分が楽しいと思える様々な活動の中で、早寝早起きや太陽光の下での有酸素運動が出来ること」であれば、うつからの回復にかかるリハビリ活動として大変有効な手段になると考えます。
大事に育てている木や花、野菜や果物などの世話でも良いですし、いつも大切にしている飼い犬との朝の散歩でも良いのです。以前はランニングが趣味だった人などであれば、無理のない範囲内で早起きして早朝のジョギングに汗を流すのも、大変効果的だと思います。重要なのは「生活リズムの復調」と「適度な運動」です。
ただし、「少しでも早く体調を戻さないと」などと変に焦ってしまい、心身の回復が不十分な状態で無理してリハビリ活動を行おうとすると、自分が「これぐらいは出来ないとダメ」などと考えていたことが出来なかった時などに「やっぱり自分はダメなんだ、うつからの回復なんて無理なんだ」などと自分を責めてしまいがちになって、リハビリ活動どころか逆効果を招くことにもなりかねません。
このことは、僕自身が主治医の先生から指摘されたことでもあります。
だから、今回の記事の内容はあくまでも僕の個人的な経験に基づく一例として考えていただき、「うつ」の治療中の方は主治医の先生とも良く相談しながら、ご自身に無理のない範囲内で復職等に向けたリハビリ活動を進めていって下さい。
ちなみに、今回のお話を朝マズメ狙いの海釣りに限定した理由は、次の通りです。
1)夜釣り(夕マズメ狙い)をベースに考えてしまうと、深夜に帰宅して釣り道具の後片付け&魚の調理をすることが多くなるので、逆に生活のリズムが狂いがちになること。
2)川や池の釣りでは、朝マズメという概念があるのかどうか僕自身が良く知らないこと。鮎釣りが趣味の父親の話では「早朝よりも、太陽が昇ってある程度水温が上がってくるお昼前ぐらいからの方が魚の活性は高い」とかなんとか…。
3)淡水の釣りに比べると海釣りの方が、比較的「釣れる魚に食べられるものが多い」こと。ウグイやオイカワ、ブラックバスなども食べられなくはないですが…好き好んで食べたいとまでは思わないですねぇ。一方でアユやアマゴ、イワナ釣りなどは、僕にとってはハードルが高すぎ(難しすぎ)ます。(苦笑)
では、「うつ」に苦しんでおられる方々が出来るだけ早く回復なされることを祈念しつつ、今回のお話はここまでとさせていただきます。
次回もまた、どうぞよろしくお願いいたします。