天気は微妙、風がきつい週末でしたね。Jackです。
昨日の僕の行動はというと、一番古い付き合いの友人Aとぶらぶら出かけながら食事をしてきました。
今回はその友人に、シマノのリールで採用されている「HAGANE」技術について、再び色々と聞いてみたお話についてです。どうぞよろしくお付き合いください。
続:金属加工のプロに、HAGANEギアについて聞いてみた
イントロダクション
今回はドライブがてら出かけた先で、過去に「HAGANEギア」について色々と意見を貰った金属加工のプロ(金属加工業の非破壊検査員で、特殊な塗料やレントゲンなどを使用して金属製品の検査をしています。)である友人Aに、再びシマノのHAGANE技術について色々と意見を聞いてみました。
参考URL:株式会社シマノホームページ「HAGANEコンセプトサイト」
ちなみに、「HAGANE」技術が採用されているシマノのリールには、こんなマークが付いています。
なお、ここから先の話は全て僕と友人Aの私見に基づくものとなりますので、どうぞご了承ください…金属素材に関する話は、まずもって間違いは無いだろうと思いますが。(笑)
金属加工のプロが見た「HAGANEギア」(その2)
ドライブ中、僕はクルマのハンドルを握りながら友人Aに聞きました。
Jack「この間、リールの鍛造ギアの話について聞いたやん?」
A「おう、そう言えばそんな話もしたなぁ。」
Jack「あの時のHAGANEギアってパーツ、超々ジュラルミンって金属を高圧プレスで鍛造加工して作ってるらしいんやけれど、『超々ジュラルミンは、長い時間が経つと強度が下がる』って話を見たんよ。実際のところ、その辺りってどんなもんなんやろ?」
なお、僕が友人Aに振った質問の元ネタは、下記参考URLをご参照ください。
参考URL:ウィキペディア「超々ジュラルミン」(ただし、2019.6.10現在の記載に基づく)
助手席の友人Aは、うーんと唸りました。
A「うちの会社の製品では超々ジュラルミンを使った加工をしないから、金属の基礎知識としてしか言えへんけれど…あれはアルミニウムを主体にした素材だから、経年劣化で強度が下がるってことは、まあ考えられるやろうなぁ。」
Jack「ふーん、やっぱりそうなんや。」
A「…って言っても、おそらく経年劣化で製品のギアの強度が下がる前に、新しいリールが欲しくなるのが釣り人なんとちゃうんか?」
Jack「それは言うたらアカン。(笑)」
A「まあ、経年劣化の原因の一番の要因は、残留応力の蓄積による金属疲労なんやけれど、」
「残留応力とはなんぞや?」という点については、下記参考URLをご参照ください。
参考URL:ウィキペディア「残留応力」
A「残留応力の蓄積の結果、金属疲労によってギアが欠けたり割れたりする可能性は、ゼロとは言えないかなぁ。」
Jack「ふーん…でも、以前の話じゃないけれど、魚が掛かってリールを巻く時の力ぐらいで、ギアにそんなに大きな応力が掛かるってわけでもないんやろ?」
A「てめー、金属疲労なめんなぁ!!(笑)」
A「応力ってのはなぁ、別に強い力が掛かっていなくても、金属が点と点で接しているだけでも発生してるんやからな?」
Jack「お、おう。」
A「でもってなぁ、どんなに小さな力であっても、残量応力ってのはどんどん蓄積されていくもんなんや。」
A「そんでもって今の話で言えば、リールのギアとギアがただ噛みあっているだけでも応力が掛かり続けている状態って訳や。」
Jack「そ、そうなんか?」
A「でもまあ、リールをただ巻いているだけでも応力が掛かっているんやけれど、いくら残留応力が蓄積するものだとはいえ、それぐらいで金属疲労を起こすまでの応力が掛かるってことは、」
Jack「てめー、釣り人なめんなぁ!!(笑)」
Jack「釣り人はなぁ、釣りに行けない日でも家でリールのハンドルをクルクル回してるだけで、十分に幸せになれる人種なんやぞ?」
A「そ、そうなんか。(苦笑)」
Jack「俺かってなぁ、釣りに行けない日には家でリールのハンドルをクルクル回して、無聊を慰めてるんや。」
Jack「でもまあ、さすがに金属疲労を起こすほどにリールのハンドルをただ巻きすることはないだろうし、それぐらいでリールのギアが壊れるようなことにはならんだろうけれど。」
A「そりゃそうや、なったら怖いわ。(笑)」
最後のほうは、お互いに古い付き合いだからできる掛け合い漫才みたいになりました。しょーもない話ですみません。(笑)
とはいえ、友人Aの話から勘案すると、確かにHAGANEギアに使用される超々ジュラルミンという素材の特性として、長期間の経過による経年劣化は発生しうるのですが、我々釣り人が新しい次のリールを欲しくなるまでの間にギアが壊れてしまうといったことは、どうやらなさそうです。
一方、個人的には友人Aの話を聞いた中で、HAGANEギアに限らず金属製のギアで構成されているリールは、ただ巻いているだけでも徐々に残留応力が蓄積されていく(=ギアの噛み合い精度が変わってくる)ものであり、その結果としてリールを巻く時の感触が新品時から徐々に変化していくのではないかとも思いました。
ひょっとしたらこの残留応力が、徐々にリールに出てくる「ゴリ感」の原因の一つなのかも知れませんね。
「HAGANEボディ」についても聞いてみた
続いてシマノのテクノロジーの一つ、同じHAGANEの名前を冠した「HAGANEボディ」についても意見を聞いてみました。
Jack「今度はリールのボディの話で意見を聞かせてくれ。通常のリールのボディ素材は樹脂なんやけれど、高級なリールになると、ボディ素材にマグネシウムやらアルミニウムやらを使ってるんよ。」
Jack「このマグネシウムやらアルミニウムやらって素材は、やっぱり金属加工をする上では扱いが難しいんかな? で、素材代やら加工のための技術料なんかがリールの値段に上乗せされてるから、リール本体の値段が高くなるって理解でええんやろか?」
僕の言葉を聞いたAは、微妙な笑みを浮かべながら答えてくれました。
A「うーん…これまたうちの会社で扱うことが少ない素材、特にマグネシウムはまず扱うことが無いんやけれど、」
Jack「ほう。」
A「基本的には、金属の中でもアルミニウムは『軽い』、マグネシウムは『軽くて、かつアルミニウムよりも更に強度がある』って素材で、樹脂に比べると強度は稼げるけれど、加工の難易度はそれなりにあるかなぁ。」
Jack「やっぱり?」
A「特にマグネシウムともなると、金属素材の中でも比較的加工の難易度が上がってくるんやけれど…」
Jack「ほうほう?」
A「その二つの素材の名前を聞いて、最初に思い出したのが『テルミット反応』やったわ。(笑)」
テルミット反応については、下記参考URLをご参照ください。
参考URL:ウィキペディア「テルミット法」
A「アルミニウムやマグネシウムが素材のリールやったら、何だかよー燃えそうやなぁ。(笑)」
Jack「いやいや、燃えてもらったら困るんやけれど。(苦笑)」
A「でも実際、その二つの素材って金属の中では燃えやすいし、一度燃え始めると火を消すのも大変なんよ…もしも家で火事が発生したら、リールの置いてある場所から爆発延焼が起きるかもな。(笑)」
Jack「うーん…本来やったら半焼ぐらいで済むはずの火事が、リールが置いてある部屋に延焼したが故に爆発全焼とかになったら嫌やなぁ。」
あくまでも冗談の範囲内の話ではありますが、実際にあったら嫌ですねぇ。(苦笑)
ちなみに、アルミニウムやマグネシウムが燃えた時に使用する消火剤で一番良いものは「砂」なのだそうです…何でも砂は融点が非常に高くて、かつ酸素を遮断することによって確実に消火することが出来るとのこと。
会社でアルミニウム素材を扱っていて、何かの間違いでちょっとした火が出てしまった時には「とりあえず砂を持ってこい!!」って話になるそうです。あと、燃えているマグネシウムに水をかけてしまうと、更に激しく燃えてしまうので注意が必要であるとも友人Aは言っていました。
さて、かなり脱線した話を元に戻して、本件については当初の僕の質問の通り、HAGANEボディでは「軽くて、より強いリールボディ」を作るためにアルミニウムやマグネシウムといった金属素材が使われていて、素材そのものの費用や素材を加工するための技術料などがリールの値段に上乗せされているものであるようです。
ある意味当たり前のことではあったのですが、個人的には「なぜHAGANEボディの素材として、アルミニウムやマグネシウムが使われているのか」といった部分の疑問が、かなりスッキリとしたので良かったです。(笑)
あとは金属ボディと特殊な樹脂ボディ(シマノの「CI4+」や、ダイワの「ザイオン」など)の強度の差についても知りたかったのですが…さすがに金属加工屋の友人Aに樹脂素材の話を聞くわけにもいかないので、これはまたいずれ別の場所で、どなたかに聞いてみたいと思います。
いまさらですが、2月にフィッシングショー大阪に行った時に、シマノの人にでも聞いておけば良かったなぁ。
最後に
という訳で、今回も金属加工のプロである友人Aに、シマノのHAGANEギアとHAGANEボディについて追加の私見を述べてもらいました。
HAGANEギアについては、超々ジュラルミンという素材の性質は別にして、必要十分な強度が確保されていることの再確認が、HAGANEボディについては素材そのものの値段や加工のための技術料がリール本体の値段に反映されていることの確認が出来たように思います。
過去の記事に比べると、今回の記事の内容は友人Aとのぐだぐだ雑談話になってしまいましたが、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。